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朝日カルチャーセンター講座シリーズ8

旅の写真術

05/16

朝日カルチャーセンター講座シリーズとは

旅の写真術の表紙:クリックすると大きくなります

奥村 勝之 著

B5判 並製 98頁
定価(本体1,600円+税)
ISBN4-8451-0731-7 C2072

【著者プロフィール】

奥村 勝之(おくむら かつゆき) 1945年、日本画家・奥村土牛の四男として生まれる。日本大学芸術学部写真学科卒業後、渡仏。通信社の報道カメラマンとしてパリを拠点に取材活動を行う。帰国後、オリンパス光学工業に入社。90年に退社後、「オフィスオクムラ」を設立。現在は、フリーカメラマンとして活躍する一方、朝日カルチャーセンターにおいて多数の写真講座を開講。

【主な著書】

『相続税が払えない〜父・奥村土牛の素描を燃やしたわけ〜』(文芸春秋ネスコ)

【旅と人生と写真―著者からのメッセージ】

 旅は異なる社会や文化との遭遇を提供してくれる。短期間ながらも波乱万丈な世界が凝縮されている。「旅は人生」と言われるゆえんもそこにある。そんな貴重な瞬間を記録に残すのが写真の役割。カメラは旅に欠かせない大切な道具だ。

 初心者がカメラ店を訪れて一眼レフカメラを購入しようとすると「このボタンを押すだけで簡単に写ります」と高価な多機能全自動カメラをすすめられる。買ってみると家庭用電化製品や携帯電話と同様に、限られた機能以外は全く使わない。この程度の写真で満足するなら軽くて簡単なコンパクトカメラの方がずっと便利だ。

 アメリカ人写真家、アンセル・アダムスは写真術について次のように語っている。

 「写真に優れた水彩画やエッチング制作に要する時間と労力をかけていたなら写真の質的向上はめざましかったであろう。画像を生み出す作業だけなら極めて簡単だが、それは創造性の荒廃を招く。私たちは写真にいくらでも労力を注ぎ込めることを知るべきである」(ライフ写真講座より中略)。

 簡単そうに思える写真だが、実は極めて奥が深い。

 記念写真や名所旧跡写真は外的刺激に引きずられてシャッターを押す。しかし、情景写真は撮影者の折々の感情が大きな引き金となって、モチーフに身を隠した自己投影姿を表現する。例えば、同じ人間が同じ青空を眺めても、幸せなときは清々しく見えるが、悩んでいるときには色あせて感じる。そのときの気分、つまり内的刺激が内容を大きく変えるのだ。

 写真は技術力、表現力、思考力が軸となり作品を構成している。技術力は目的を達成するに必要な技術、表現力は感性と時代性を形にする能力、思考力は主題を決定する潜在的教養と探究心である。技術力は努力すれば誰でも身につけることが可能だが、表現力は生活環境が、思考力は潜在的才能と生まれ育った環境が大きく左右する。

 「ならば写真は難しいからもうやめよう」と考える人もいるだろうが、それは逆だ。基礎を大切にしながら自分なりの主題に基づいた表現を素直に実行すれば良いのだ。

 さて、旅にカメラ機材を持って行くと数々の障害を引き起こす。歩くこともままならず、フットワークの悪さからせっかくのシャッターチャンスも逃してしまう。テロ事件などが発生すると、パッキングの要領の悪さから搭乗手続きなどにうんざりするほどの労力を費やすこともある。加えて、余裕のない旅では移動や悪天候に阻まれてなかなか思うような写真が撮れない。しかし、どんな逆境にあってもそれなりの写真が撮れなければ旅の価値も半減してしまう。そのためには状況に応じて臨機応変に対処できる技術と知恵が必要だ。

 本書は一章《旅支度》で一眼レフカメラの基礎テクニックを、二章《旅の写真を撮る〜ポルトガル憧憬〜》で「どのような技術と表現を駆使すれば思い通りの写真が撮れるのか」を解説。三章《旅の後に》は写真の整理・保存とメンテナンスを掲載している。

 写真は誰もが個性を発揮できる可能性を秘めた媒体だ。技術が「上手いか下手か」は評価できても、作品が「良いか悪いか」は作者の価値観から生まれるものなので何人も口をはさむべきではない。是非、旅と人生を主題にして写真による自己表現に挑戦して欲しい。あなたの人生は世界唯一の芸術なのだから。

【目次】

序章 旅と人生と写真

第1章 旅支度 一眼レフカメラの基礎テクニック

旅に出るにはそれなりの支度が必要だ。ましてやカメラを携えての旅ともなれば、基礎的なテクニックはぜひ身につけておきたい。第1章では一眼レフの構造から基本操作、さらには旅の心得などをわかりやすく解説している。

  • 一眼レフカメラの特徴と選択
  • カメラの構え方
  • ピントの合わせ方
  • シャッターの速度と絞り値
  • 適正露出
  • レンズの種類と選択
  • 三脚の選択と使い方
  • ライティングの基礎
  • フィルムの種類と選択
  • フィルターの種類と選択
  • 旅の準備とセキュリティ

第2章 旅の写真を撮る ポルトガル憧憬

「1889年、パリ万国博覧会が開催された年、エッフェル塔の下でサムライ同士が斬り合いをした。その記録はポルトガルのコインブラ大学図書館に保存されている」と友人から聞かされた。いつの日か、僕はポルトガルを訪れてみたいと思うようになった。

1993年、その夢は実現した。ポルトガルの存在は、現代日本の生活様式に絶大な影響をもたらした。長年の歳月を経ても不変の信心深さ、優しさ、明るさ、素朴さを忘れない希有な国でもある。

●リスボア

  • 灯を撮る ゴアの面影
  • 紺青の空を撮る パンテオン
  • 夕暮れの窓辺を撮る アルファマの風
  • 菓子職人を撮る コンフェタリアナショナル

●オビドス

  • フォルムを撮る オビドス

●ペニッシュ

  • 荒涼とした海を撮る 大西洋

●ナザレ

  • スケールを撮る ナザレの砂浜

●ファティマ

  • 参道を撮る 聖なる祈りを捧げる信者

●コインブラ

  • 曇り日の風景を撮る コインブラの甍
  • アズレージョを撮る アズレージョ

●ポルト

  • 雨の街を撮る 雨のポルト
  • 感情を撮る 子供と猫
  • 決定的瞬間を撮る 祝福

●ヴィアナ・ド・カステロ

  • 逆光風景を撮る リマ川

●ポンテ・デ・リマ

  • ブドウ狩り風景を撮る 秋の収穫
  • 意識させないで人物を撮る 農夫

●シャーベス

  • 行きずりの人を撮る 引越

●ラメーゴ

  • 老羊飼を撮る 老羊飼

●ヴィゼウ

  • フラッシュで複数の人物を撮る 修道尼

●レドンド

  • 陶芸職人を撮る レドンドの岡本太郎
  • 料理を撮る ヴァカリャウ

●ヴィラ・ヴィソーザ

  • 逆光で人物を撮る 修道女と老人

●エボラ

  • 霧の風景を撮る 霧のエボラ

第3章 旅の後に カメラの手入れと写真整理

家に着いたからといって旅は終わらない。旅の供であった機材を手入れし、撮りためたフィルムを現像、プリント。その後は写真整理が待っている。第3章ではそれらのコツを紹介していこう。

  • カメラのメンテナンス
  • 写真の整理と保存

あとがき

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