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憲法「改正」

軍事大国化・構造改革から改憲へ

05/08/30

自衛隊イラク派遣、中国全土に広がる反日デモ、そして靖国問題、
この問題の前提には憲法問題がある!
憲法をどうするか――さまざまな改憲論のねらいを
ていねいに解き明かす。
全国各地で2000を超えた「9条の会」、高まる9条への関心。
9条改憲の疑問にも明解にこたえる!

憲法「改正」の表紙:クリックすると大きくなります

渡辺 治 著

A5判 並製 144頁
定価1,050円(1,000円+税)
発行日 2005年7月1日
ISBN 4-8451-0936-0 C0036

【著者プロフィール】

渡辺 治(わたなべ おさむ) 一橋大学大学院社会学研究科教授(専攻:政治学・日本政治史)。1947年東京生まれ。
東京大学法学部卒業、東京大学社会科学研究所助教授を経て、90年から一橋大学教授。

【主な著書】

主著に『日本国憲法「改正」史』(日本評論社)、『日本の大国化は何をめざすか』『憲法「改正」は何をめざすか』(岩波ブックレット)、『戦後政治史の中の天皇制』『企業支配と国家』『政治改革と憲法改正』(青木書店)、『講座現代日本1 現代日本の帝国主義化』『講座戦争と現代1 「新しい戦争」の時代と日本』(大月書店、後者は編著)、『日本の大国化とネオ・ナショナリズム』(桜井書店)、『「豊かな社会」日本の構造』(旬報社)、『「憲法改正」批判』(共著、同)、『憲法「改正」の争点』『変貌する〈企業社会〉日本』(編著、同)、『安倍政権論』(同)など。

【著者からのメッセージ】

 小泉政権になって、それも自衛隊のイラク派兵の強行後、憲法「改正」の動きがいよいよ政治舞台に登場した。「いよいよ」と書いたのにはわけがある。本文でも強調したように、保守勢力にとって憲法はハナから気にくわないものではあったが、国民の強い憲法意識を背景とした運動側の力によって改憲を政治日程に上らせることは容易ではなかった。

 とくに、60年代以後の保守政治は憲法の枠を認めたうえでの政治を強いられた。これが変わったのが、90年代である。経済のグローバリゼーションを背景とした軍事大国化にとって憲法九条が大きな障害物となったからである。おまけに大企業の競争力を強化するために推進された構造改革の進行にともなって、こちらからも改憲の要求が台頭した。

 しかし、ここでも改憲は一筋縄では行かなかった。強い憲法意識の下では、改憲は軍事大国化のもくろみを挫折させかねなかったからだ。こうして、一方では改憲を先延ばしにした軍事大国化が進められると同時に、改憲のできる政治構造へ向けて政治体制の再編が強行された。

 現在台頭している憲法「改正」のうねりは、一方で改憲先延ばし手法が限界に達し憲法の突破なくして軍事大国化の完成はないという衝動と、10年かけた政治体制再編の効果がようやく現れて保守二大政党制という改憲を可能とする政治舞台ができ上がった結果である。

 これに対し改憲を阻もうという運動もようやく活発になってきた。去年の6月に発足した「九条の会」の運動はその象徴だ。今や各地の「九条の会」は2000を超えた。50年代の改憲と軍国主義復活の政治を挫折に追い込んだ安保反対運動の際の共闘組織を、もう追い抜く勢いである。

 こんな状況のもと、僕も、改憲に反対する集会などで講演を求められることがやたら多くなった。しかし、講演の限られた時間内で話すことは限られるし、話し切れずにストレスのたまることがしばしばだ。

 おまけに、昨年末から大学の大事な役職につくことになり、講演の依頼に応えられる時間も限られてきた。憲法改悪を許すかどうかの正念場なのに、という苛立ちもつのるが、そうも言っていられない。法人化のスタート直後ということもあって、大学の仕事も手が抜けないからだ。

 そうした事情から、現代の改憲の台頭の背景、改憲のねらい、たくさん出ている改憲案に共通する特徴、国民投票法案の中身、改憲を阻む運動が考えるべき点などを書いたのが、本書である。

 本書の骨格にしたのは、昨年暮れ、「労働情報」編集部から頼まれて、改憲問題について話した内容をもとにした8回にわたる連載原稿(『労働情報』662・3合併号〜670号)と、今年の2月に「憲法改悪反対の共同センター」主催の集会で行った講演(『月刊全労連』2005年5月号)である。この2つをもとにしながら、講演では時間の関係でいつも省略せざるを得ない部分などを大幅に加筆してでき上がったのが本書である。

 改憲に反対する側からもたくさんの本が出版されるようになった。僕の本に特徴があるとすれば、現代の改憲を90年代から怒濤のごとく展開した資本のグローバリゼーションとそれに対応する2つの改革との関係で説明していること、九条と同時に構造改革の遂行に伴っても改憲の衝動が強まっている点を指摘したこと、国民投票法の重要かつ危険な役割を検討したこと、そして、何より九条の果たした役割と今なおもっている力を強調していることなどであろうか。

 本書が、改憲を阻もうとする人びとや運動のなかで読まれ活用されることを期待したい。

【目次】

1 いま、なぜ改憲か

2 憲法9条は現実をいかに変えたのか?

憲法の力とは何か?

憲法9条を具体化した運動の力

3 経済グローバル化と改憲のねらい

軍事大国化・構造改革推進と改憲

軍事大国への圧力と欲求

グローバル競争と構造改革

4 軍事大国化の完成と9条改憲

軍事大国化の第一段階と改憲回避

軍事大国化の第二段階

軍事大国化の第三段階と改憲の政治日程への浮上

9条改憲案の3つの類型

5 改憲の長期的ねらい――構造改革と改憲

なぜ改憲派は全面「改正」を主張するのか?

構造改革の諸段階と改憲

社会統合「再建」のための新たな国家構想の2つのタイプ

構造改革と関係する改憲案

教育基本法「改正」論との共通性

市民上層の形成

6 改憲はどこまで進んだか――国民投票法のねらい

改憲実行に立ちはだかる困難

国民投票法の何が問題か?

7 改憲を阻止するために

憲法9条を守ってきた闘いの到達点に対する確信を

「殴る側の大国」になった自覚を

9条理念の実現の展望を

反グローバリズム、反構造改革の闘いと九条擁護の運動

社会的多数派の結集で政治を包囲する

統一して闘うことの重要性

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