旬報社ホームページは移転しました。
新しいURLは、http://www.junposha.com/になります。
ブックマークに登録されている場合は、URLの変更をお願いいたします。

警察幹部を逮捕せよ!

泥沼の裏金作り

06/28

裏金作りは詐欺、横領罪だ!腐敗する警察上層部の犯罪を暴く!

警察幹部を逮捕せよ!の表紙:クリックすると大きくなります

大谷昭宏+宮崎 学+高田昌幸+佐藤 一 編著

四六判 並製 180頁
定価(1,500円+税)
発行日 2004年6月30日
ISBN4-8451-0887-9 C0036

【著者紹介】

大谷昭宏(おおたに あきひろ) 1945年、東京生まれ。
早稲田大学政経学部卒業。読売新聞大阪入社、大阪府警捜査一課等を担当。87年に読売新聞社を退社後、大阪に事務所を設立してジャーナリズム活動を展開。

主な著作(共著含む)に、『権力犯罪』『関西電力の誤算』(旬報社)、『日本警察の正体』(日本文芸社)、『グリコ・森永事件 最重要参考人M』(幻冬舎)など多数。

大谷昭宏事務所ホームページ

http://homepage2.nifty.com/otani-office

宮崎 学(みやざき まなぶ) 1945年、京都生まれ。
早稲田大学法学部中退。フリー週刊誌記者として活躍後、故郷で家業を継いだ後、自らの人生を描いた『突破者』(南風社)で作家活動へ。

主な著作(共著含む)に、『民主主義の原価』(講談社)、『グリコ・森永事件 最重要参考人M』(幻冬舎)、『地獄への道はアホな正義で埋まっとる』(太田出版)、『土壇場の経済学』(南風社)、『警察官の犯罪白書』(幻冬舎)など多数。

宮崎 学ホームページ

http://miyazakimanabu.com/

高田昌幸(たかだ まさゆき) 1960年、高知県生まれ。
法政大学法学部政治学科卒業。1986年、北海道新聞社に入社。小樽報道部、本社経済部、同社会部、東京政治経済部を経て、2003年3月から本社報道本部次長。一番の関心は「調査報道」で、旧北海道拓殖銀行の不正融資、北海道庁の裏金事件、地元百貨店の乱脈経営、鈴木宗男元衆院議員の問題などを手掛けた。

メールアドレス takada@hokkaido-np.co.jp

佐藤 一(さとう はじめ) 1963年、福島県生まれ。
立命館大学文学部日本史学科卒業、東京のシンクタンク勤務、経済誌記者などを経て、1993年に北海道新聞社に入社。釧路報道部、本社社会部などに勤務し、2003年5月から報道本部で道警担当キャップ。警察取材歴は通算約4年半。障害を持った少年による事件に関心があり、知的障害者施設による入所者の年金詐取問題などの取材を手掛けた。

メールアドレス satou.hajime@doshin-news.net

【著者からのメッセージ】

 あんまり縁起のいい話ではないが、もし、あなたの家に泥棒が入った。あるいは出かけた先で交通事故にあった。大事な身内が殺人事件の被害者になってしまった。そんなとき、どなたに限らず、まっ先にすることは110番をするなりして警察に連絡することではないか。

 その場合、東京都民なら警視庁、大阪府民なら大阪府警がかけつけてくる。私は警視庁を信用していないから別の組織にお願いしよう、大阪府警は不祥事が続いているから別のところに頼みたい。そう思ったとしても、そんなわけにはいかない。東京には警視庁以外の警察組織はないし、大阪だって同じだ。

 そこが銀行や、一般の企業と違うところだ。銀行なら不良債権が焦げついて、自己資本比率が下がり、預けているお金が危なくなりそうだと聞いたら、預金者は当然のことながら大事なお金をその銀行から引き出して、別の銀行に移し替える。

 雪印や三菱ふそうのように、その会社の製品が信用ならないとなれば、消費者は何も好きこのんで、それらの会社の牛乳や車を買うことはしない。別にいくらでも乳製品や自動車のメーカーはあるんだから、よほどの変わり者でない限り、危険を承知でわざわざその会社を選んでやるお人よしはいない。

 結果として、その会社は社会の中で立ち行かなくなるか、あるいは会社そのものが潰れてしまう。当然のことである。

 だけど警察はそうは行かない。市民がどんなにその警察を忌み嫌っていても、あるいはここ数年、まともに殺人事件を解決したこともないほど、捜査の力がない警察でも市民はそこに頼るしかない。

 その一方で警察にしてみれば、市民をどんなに泣かせようが苦しめようが、あるいは捜査なんかまともにできなくたって潰れる心配はない。何しろ、完全な独占組織、競争相手がいないのだから、ほかの組織に仕事を持って行かれる心配は露ほどもない。左ウチワであぐらをかいていたらいいのである。

 こんな唯我独尊のような組織がいま土台から腐っている。この組織にかかわる人があろうことかこぞって犯罪に手を染めているということになったら、どうなるか。この国の「安全と安心」なんてどこかに吹っ飛んでしまう。いや、とっくの昔に吹き飛んでしまっているのかも知れない。

 またぞろ、警察の裏金作りの問題が噴出している。捜査用報償費不正支出疑惑というやつである。またぞろと書くのには、理由がある。もう十数年前になる愛知県警の「正義の警察官グループ」と名乗る集団からの匿名の告発をはじめ、警視庁、宮城、香川、熊本、高知といった各警察。並べ出したらきりがないほど不正支出が明るみに出ている。なのにまさに、またぞろなのである。

 今回は北海道、面積ではもちろん日本最大の地を管轄する北海道警である。

 ところで、警察の不正支出を取り上げるにあたってまず、「裏金」というおかしな金についてきちんとした説明をしておく必要があると思う。裏金というと一般的には、予算を消化しきれず、余ったお金をプールしておくとか、表向きにはなかなか通らない出費のために、その金を別途、用意しておく、そういった金ととられがちである。もちろん本来はそうした金銭を指すものであることに違いない。

 つまり表向きにできないから、裏金なのであって、あくまで表があっての裏。表から裏に流れる金であるはずなのだ。

 だが、警察の裏金は違う。なんだか判じもののようになってしまうが、裏があってはじめて表がある。金はすべてまず裏にまわり、そのなかの一部が初めて正規の金として表にまわる。「初めに裏ありき」が警察の予算執行なのである。

 予算が国会や都道府県議会によって承認されると、その金は警察庁、都道府県警察を通じて警察本部の各部局や各課、各警察署に配分される。そこで本来なら人件費や、捜査費として支出されて行くはずなのだが、警察の場合は違う。すべての金は裏金という悪のルートにまわるのだ。

 そのうえで本当にいる金だけが裏金という悪の洗礼を受けたあと、表の顔としてやっと娑婆に出て行くことになる。

 したがって警察の裏金は、中央省庁や都道府県庁が余った金をくすねて溜め込んでいた裏金とは根本的に違うのだ。まず、そのことを本書をお読みいただく読者に理解しておいてほしいのである。

 たしかに警察の予算はそのような裏ルートを通るとはいえ、必要なお金として、いずれは表の金として支出されて行くのであれば、やり方は悪いが、予算は一応、執行されたことになる。しかしもうお気づきのようにそんなふうにちゃんと表向きの金として予算を消化していたのでは、せっかく最初に裏に流し込んだ金は、いずれはゼロになってしまう。それでは何のためにいったん裏に入れたのか、意味がなくなってしまう。

 そもそも最初に裏に流し込むことにしたわけは、いかに表の支出を減らして、裏にガッポリ溜め込むかにあったはずだ。そのためには、表の支出を装って裏に流しこむ理由づけがいる。そこにこそ、この警察不正支出疑惑の根本があるのだ。

 実は今回、本書のテーマとなっている捜査用報償費の不正支出は、その理由づけの一つにすぎないのである。

 裏の金を減らさないために虚偽の表の支出を作り出さなければならない。そこで窃盗事件や暴力団犯罪の捜査に協力してくれたという人を電話帳などから引っ張り出した人の名前でデッチ上げる。つぎに何十年間にわたって保管されている数百の印鑑からその名のものを押してニセ領収書を作り上げ、捜査用報償費の不正支出、一件出来上がりなのだ。

 このたびは、そのデッチ上げの明細が北海道警旭川中央署から流出してしまった。報償費を受け取ったとされる人物がその時点で死んでいたケースさえあるのだから、まさにウムを言わせぬ証拠である。

 警察庁にとっても全国都道府県警察にとっても驚天動地、激震が走った。

 だが、裏をいかに肥えさせて、表を痩せ細らせるか、捜査用報償費名目だけでは足りるはずもない。そこであらゆる手口が長年にわたって編み出されている。

 課員、署員の超過勤務のデッチ上げ、一人が年間、百何回にのぼるカラ出張、都道府県幹部や議員を飲み食いさせたことにした架空接待、ニセの物品購入、食ってもない弁当、夜食の支給、やってもない施設の補修、開かれた形跡のない記者との懇親会……。

 よくもまあ、これほどまでにと“先人の知恵”に感じ入るばかりだが、では、最初から日の当たる表を見ることもなく、いきなり裏の預金口座に流しこまれたこれらの金は、一体、誰が最後は懐に入れたのか。いつ、どこで誰のために使われたのか、その行き先については本書をお読みいただきたい。

 いずれにしてもまず念頭に置いておかなければならないことは、こうした警察の不正がたまたま良からぬ警察官がいたことから始まったとか、たまたま予算が余ってしまったから起きたという体質のものではないということである。

 最初から不正なかたちで予算をプールし、不正な形で支出するという予算詐取集団として、警察組織が存在したということなのだ。言い換えれば警察そのものが犯罪集団だったのである。そんな組織に代替の機関もないまま、市民は犯罪捜査を任せ、社会の安全と安心を委ねているのである。

 いまでは警察に不正がなかったと信じて疑わない国民なんて誰一人としていない。北海道から火を噴いた疑惑は、燎原の火どころか、燃え盛る山火事のように宮城、静岡、福岡、高知といった県警で、火の粉を噴き上げている。その一方で、多くの国民は、これほどの不正が何十年という長期にわたって日常的、恒常的に行なわれていながら、なぜ、いままで根源的な追及がなされなかったのか、強い疑問を抱いていることも確かなはずだ。

 そういう意味では、本書のなかで詳しくふれたつもりのメディアの罪、とくに全国紙といわれる大手新聞の罪は深い。

 だからこそ、今回、北海道の地から事件の口火を切ったばかりではなく、その後もあらゆる妨害のなかで、追及の手をいまだに一切、緩めようとしない北海道新聞の勇気と努力には、尊敬と敬服する以外にない。その意味で、本書は、まず北海道新聞の裏金追及の取り組みを語っていただくことからはじめたい。

 だが、案の定、その一方で山火事の火消し、幕引きに必死の警察庁に対して、全国紙はまたぞろ手を貸そうとしている姿が見え隠れする。だからこそ、本書はその警察の募引きの様子から書き出すことにした。

 いずれにしろ、こんな二重三重の敵と闘い、加えて取材と執筆の忙殺されるなか、本書の緊急出版に全面協力して下さった北海道新聞のデスク、取材記者のみなさんの勇気と好意に心から感謝する。さらに警察組織をこれまで鋭い論評で震え上がらせてきた畏友、宮崎学氏も戦線に加わってくれた。

 日本の警察が一部の諸外国のように犯罪集団に墜ちて行くのか、それとも本書の中に再生の芽はあるのか、そんな思いでページを繰っていただけたらと願っている。

大谷昭宏 

(「はじめに」より)

【目次】

はじめに

なぜ、道警の裏金を追及するのか

幕引きを許すな

  • 警察は一部の不正を認めて終わらせようとしている
  • メディアも幕引きに加担している
  • 警察は上納追及を恐れている

多様な裏金作りのシステム

  • すべての警察予算から裏金を作っている
  • 銃器対策をめぐる裏金作りが遠因となった「稲葉事件」
  • 「首なし銃」と「おとり捜査」
  • イベント警備が裏金の資金に
  • 裏金作りのマニュアルがある

なぜ、原田氏、斎藤氏は告発に踏み切ったのか

  • 幹部を免責した「稲葉事件」の処理への怒り
  • 裏金作りをし続けたことに悩んで

メディアと警察の癒着を絶つ

  • メディアは何をしているのか
  • 幕引きに走る全国紙
  • ウオッチャードッグの役割をなぜ事件記者は果たせないのか
  • 特オチが怖いから萎縮しているのか

政党は役に立つのか

警察が丸ごと腐っていく

  • 警察の腐敗が直接市民の生命とか財産に影響してきている
  • どうして警察は腐敗し始めたのか
  • 高橋北海道知事の変化
  • 監察医がこれから問題に

外部監察は機能しているのか

  • 裏金を見過ごした会計検査院と監査委員
  • 警察に取り込まれる公安委員

裏金の根を絶つには

  • “徳政令”で膿を出し切れるのか
  • 警官は正義を行なっているのか
  • 外部監察が必要だが、それにも限界が……
  • まだ徹底的に追及を続けなければいけない
  • 予算化と時限公開

資料

  1. 道警の裏金疑惑をめぐる経過
  2. 道警報償費不正疑惑 元釧路方面本部長の証言
  3. 道警報償費不正疑惑 元弟子屈署次長の証言
  4. 日本共産党福岡県委員会に寄せられた内部告発
  5. 警察の裏金づくり“一般論では犯罪”―法務省刑事局長答弁
  6. 全国の警察の裏金作りリスト

前の表示に戻る

社会・労働コーナーに移る

トップページに移る

ご意見、ご感想、お問い合わせは旬報社まで